『新編 日本一醜い親への手紙』(仮題)には、多くの応募が予想されます。
20年前(1997年)は、新聞や雑誌などの紙媒体だけで公募したところ、2ヶ月間に300通以上の応募がありました。
選考は先着順のため、お早めに書かれることをお勧めします。
そこで、採用されるためのコツをお知らせします。
★自分の親だけを読者として想定して書く
「親への手紙」という形式を守らず、親以外の第三者や一般読者向けに説明する文面の場合、採用しにくいです。
必ず自分の親に向けてずっと言いたかったのに言えなかったことを「投函できなかった手紙」として書いてください。
なので、必ず「父へ」あるいは「母へ」「両親へ」から書き出してください。その手紙の読者は、親です。
書く前に、1997年刊行の『日本一醜い親への手紙』に採用された手紙の一部を紹介するこの動画(←クリック)を観ることをお勧めします。
★書き終わったら添削する
応募する前に、5W1H(いつ・どこで・誰が・どのように・何をして・どうなった)をなるだけわかりやすく書いているのかを確認しましょう。
絵のデッサンをするように、自分の身に起こった虐待やその光景をていねいに書いてみましょう。
どこを直した方がいいのかがわからない場合は、書き上げた原稿を学校や塾で国語を教えている先生か、本や雑誌の編集者の仕事をしている人、仲の良い友人などに見せ、直した方がいい部分を赤ペンで教えてもらいましょう。
★どこから書いていいかわからない
「親への手紙」を書く前に、0歳から現在の年齢までの自分史年表を作ってみましょう(※年表の見本を参照)。
これまでの人生で、自分が親との関係で一番つらさを感じた時期のことにしぼって書いても構いません。
「親への手紙」の選考は、文章力や虐待のひどさの程度を競うものではなく、虐待の事実と痛み、今日まで生き残れた理由を重視します。
★あいまいな言葉を使わず、なるだけ具体的に書く
個人特定がされないよう、編集部でも配慮しますが、なるだけわかりやすい表現でお願いします。
添削時には、以下の点を見直してみましょう。
① 固有名詞を使う
△私を救ってくれたのは、小説だけだった
◎私を救ってくれたのは、太宰治の小説『人間失格』だけ
② 数字で表す
△手首は切れるだけ切った
◎手首を切った。100回までは数えたが、後は知らない
③ 読む人の目に浮かぶように書く
△私にはもう、信頼できる人たちがいる
◎BL小説書きの仲間や会社の同僚など、頼れる人がいる
④ 自分自身の痛みを重視して書く
自分に起きたことをただ客観的にだけ描写しようとせず、親子間におきた出来事に対して、その当時には言い出せなかった自分の感情を思うがままに書いてみてください。
△僕は母に性的虐待をされた。何度も入浴をのぞかれたのだ。
◎僕はお風呂に入るたびに母からのぞかれた。中学生だった自分には、それが本当に嫌だった。何度「やめてくれ」と頼んでも、母は「子どもだからいいじゃない」と笑うばかりだった。「死んじまえ」何度もそう思ったが、言えなかった。
★無理に書かない
「親への手紙」を書いているうちに気分や体調が悪くなった場合は、それ以上、無理に書き続けることはお勧めできません。
とくに、精神科や心療内科、カウンセリングなどに通院しているは、書くことで心身に負担がかかる時は、必ず主治医やカウンセラーの判断による助言を聞いてください。
★文章を書くのが困難な場合は…
以下の方法を試してみましょう。
① スマホのアプリにあるボイスメモに自分がされた虐待について話して録音し、後でその音声を文章にまとめる
② 「自分が親からされてイヤだったこと」をテーマに、心ゆるせる友人・知人・メル友などと話しながら、自分が「親への手紙」に書きたいことをメモした後に本原稿を書く
③ 「児童虐待とは?」のページを確認し、自分が親からされた経験を思い出す
④ 自分の話を聞いてくれる人に、聞き書きしてもらう
⑤ 聞き書きしてもらえる人がいない場合、conisshow@gmail.comまでメールをいただければ、パソコンやスマホで無料通話できるSkype(id:con-isshow)で話をしながら、こちら(Create Media)で聞き書きします。
その場合は、メールにSkypeで話し合える日時の候補を3つまで事前にお知らせください。
(※ただし、この無料サービスは未成年に限ります)
★以下のネタで書いてみる
「どこから書けばいいのか?」と悩んで書き進められない時は、以下のネタを参考に書き始めてください。
◎あなたの家から離れて暮らしてから気づいた私の変化
◎あなたが私にしたことが虐待だと気づいたきっかけ
◎私にはどうしてもガマンできなかったあなたの言葉
◎周囲の誰にもうちあけられなかった、あなたの行動
◎養護施設やNPOとの関わりで気づかされた、あなたの罪
◎大人は誰も助けてはくれなかった
◎震災がなければ、私は家とあの街に支配され続けた
◎あなたからの虐待から生き残るために私がしたあれこれ
◎介護して初めてわかった、あなたを愛していない私の心
◎「あなたを捨てる、介護しない」と決めたあなたの言動
◎あなたが親でなかったら、私は今頃こうしているのかも
◎あなたに虐待された私は、わが子を虐待してるのかも…
◎医者が指摘した、あなたの罪と私の病状・障害の関係
◎一刻も早く家を出たいのに、私が出られないわけ
◎私を救ったのは、あなたではなく、◯◯だった
◎あなたの支配から逃れるため、私はこうして家出した
◎私が孫をあなたに抱かせず、あなたの家に帰らない理由
◎自分しか責められなかったあの頃を、あなたは知らない
◎あなたに虐待されたことで世間と折り合えないでいる私
◎あなたも虐待されて育ったのかもしれないが…
◎「あなたを殺したい」と思ったあの日が忘れられない
◎あなたと訴訟する日
親に対する呼称は、「母」でも「かあちゃん」でも何でも構いません。
自分に対する呼称も、「私」でも「俺」でも何でも構いません。
「良い子」を演じるような表現上の自主規制はせず、ありのままの事実に基づき、思いきり「親への思い」をぶちまけてください。
文才や筆力などは問いません。
他にも、書く上で不安や疑問などがあれば、「Q&A」をご覧の上、conisshow@gmail.comまでお気軽にお尋ねください。