★吉田もも
★女
★54歳
★パート
お父さん、お母さん。
うちが変な家庭だったと、気づいていますか?
私はずっと、お母さんは責任感が強くて、我が強くて、一人でも生きていけそうな強い女だと思ってました。
裏返せば、それは自分だけが可愛くて、自分だけが人から責められないようにするための鎧だったんだね。
最近、気づきました。
だから、私が高1で家を出て同棲生活を始めた時に、「好きな事していいから、学校イヤなら辞めていいから家にいて。とにかく家にいて」と言ったんだ。
義母や夫に責められたくないから。
その時の同棲相手に暴力振るわれて、逃げた先は家だったけど、かばってくれることはなかったもんね。
「勝手に出て行ったんだから、そんなの我慢しなさいよ!」って追い返したよね、お母さん。
私はその時、「これが大人なんだ。自分がやった結果は自分が負わなきゃいけない」と思って耐えたよ。
でもね、後で知った。
ずっと仲良くしてた高校時代に知り合った友達の家に逃げたら、その子のお母さんは私をとても心配してすごく良くしてくれたよ。
「何日いても構わないから旦那さんが反省するまで離れてなさい」って言ってくれた。
その時は「甘やかすお母さん」としか思わなかったけど…。
今思えば、それが"お母さん"なんだと。
子の生命の危機を本能的に救うのが、お母さんなんだ。
自分の子を持って、初めてわかったよ。
ウチのお母さんは、子どもの危険よりも自分の保身が先だった。
お母さんは、「自分にも何かされるのでは」っていつも言ってたね。
そういう不安があったから、自己責任論で私を追い返していたんだね。
10年以上我慢して、婚家を飛び出した時には、盗難届を出されたね。
私が実家の家業の名義の車に乗っていたから。
幸い捕まる前に、私がお母さんに居場所を連絡したから取り下げたらしいけど。
「あんたの居場所を知るにはこれが一番いい方法だと思った」とか言ってたけど、娘を犯罪者にしようとするその行為は、親が取る行動なのかと疑問です。
まったく子どもを信用してないし、「自分で何とかしろ」と言っといて、いなくなればどんな手段を使っても追うんだね。
こんな母親なのに、なぜ今まであんなに求めたのかわからないよ、自分が。
ただ愛されたかったんだな、私。
小さい頃からずっと振り回されていたけど、お母さんが大好きだったんだ。
いつも考えてたよ。
「お母さんが死んじゃったらどうしよう…」ってね。
「お母さん以外、家には味方がいない」って思ってたからね。
お父さんは毎日朝帰りだし、おばあちゃんは家事育児やらないし、子どもに興味のない人だったから。
今思えば、あなたも子どもに興味なんてなかったんだな、きっと。
「産んだのは自分だから育てないといけない、連れて歩かないといけない」っていう責任感だけで育てていた。
(…と思ってたけど強迫観念だったんだろう)
自分の思惑から外れることをすると切り捨てようとしたのは、まさに子どもへの愛情なんてカケラもなかったんだろうね。
本当に気づいて良かったね、私。
「お母さんだから大事にしなきゃ」とか、「強くて立派な人だ」とか思ってた自分がかわいそうだよ。
あなたの言葉のすべてを鵜呑みにしていた若い頃の自分を取り戻したい。
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