みんなの「親への手紙」 029 檻から出して


★名前 ゆい
★性別 女性
★年齢 24
★職業 無職


 両親へ
「死にたい」
 生まれてからずっと心の中で叫んでた
「助けて」

 その言葉は、誰にも届かなかった
 だから私は笑った
 誰よりも明るい笑顔で
〝大人になったら幸せになれる〟
 そう信じて笑い続けた

 しかし、大学生の時、私は知った。
「あなたは重度の精神疾患です」
 主治医に言われた言葉に、「やっぱり」って思った

 24時間監視カメラで見張られて、毎日毎日殴られた
 寝る時間も無く、勉強させられる日々
 何の理由も無く、罵声を浴びせ怒鳴り散らす
 午前4時に蹴り飛ばされて家中の掃除
 私は奴隷ですか?

 虐待は終わらない
 心に深く刻まれた傷は、永遠に消えない

「ねぇ殺してよ」
「死にたい」
「死にたい」
「死にたい」

 一人暮らしを始めるまでの18年間、そう思いながら私は生きて来た。

 生後間もない娘に、アレルギー症状の出た食品を医師の許可も無く与える気分はどうでしたか?

 5歳の少女に、「死にたい」と言わせて楽しかったですか?
 虐待していることがバレないように、証拠は何も残しませんでしたね

 私が虐待されていると自覚しないように洗脳し、全てを支配した気分はどうでしたか?
 何の罪も無い子どもを18年間も苦しめ続けたにもかかわらず、未だに満足しない理由はなんですか?

 虐待が原因で、複雑性PTSD、鬱、疼痛性障害、身体表現性障害...etc
 私は、治療法も確立されていない完治不能の病気になりました。

 毎日フラッシュバックし、何時間も大号泣して過呼吸になり、末期癌のようなひどい痛みに全身襲われ、常に寝たきりで、日常生活もままならない。
 他にも、薬の副作用や数えきれない原因不明の症状に苦しんでいます
 そんな私に、あなたは言いましたね...

「早く働いて、今までおまえに使った金を全額返せ」
「毎日何もせず怠けているだけ」
「虐待なんかしていない」
「生活保護は受けさせない」
「病気になったのは全部、おまえが悪い」
「おまえはいつでも監視できる環境に置く」

 他にも、数えきれないほどの残酷な言葉を浴びせられました。
 でも、言わせてください。
 私は、おまえらのオモチャじゃない。
 これ以上、苦しめないでください。
 私が望むことは、おまえらのいない未来です。

 だから私を解放してください。
 自由をください。
 檻の中に閉じ込めて監視しないでください。

 普通の人間と同じように、私にも人権はあります。
 これ以上、私を苦しめ続けるなら、自殺します。
 それが嫌なら、私と絶縁してください。

 虐待なんかされて無かったら、ちゃんと大学を卒業して、国家試験も合格して、今ごろ薬剤師として働いてました。
 好きな人と結婚して、子供を産んでママになって...。
 そんなごく普通の当たり前の未来が欲しかった。

 毎日毎日、漠然とした不安と恐怖に襲われる日々は、もういらない。
 余命宣告を受けた人をうらやましいと思う人生は、あまりにも悲しすぎる
 「死にたい」と思いながら生き続けなければならない人生がどれほどつらいか、おまえらには何があっても理解できないだろうね

 過去の自分に、未来の自分に、〝死ねなくてごめんね〟。
 そんなふうに謝りながら生きて行く人生なんて、いらない。
 だから、もう解放して。


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