名前 田中ハル
性別 男性
年齢 42
年齢 42
職業 写真家
母へ。
あなたと決別をしてから、ようやく9ヶ月が経ちました。
物理的な距離は離れても、あなたが自分に残した傷はとても大きいものです。
ふとした瞬間に、記憶が蘇ります。
もともと瞬間的な記憶力の良い自分は、その時のことを、意思とは関係なくありありと思い出してしまいます。
5歳の時に、うまく鼻がかめないことを理由に殴られて、冬の夜、外に放り出してドアの鍵を閉めましたね。
泣きながら、「ごめんなさい!」と「開けて!」と叫びました。
ご飯を作って、並べて、取り上げて、捨てましたね。
自分は、何をしたのかさっぱりわかりませんでした。
トイレに何時間も閉じ込めて、「汚れを舐めて掃除しろ」と強要して、何度も謝っても助けを求めても、監禁し続けましたね。
夜に急性盲腸炎になり、腹痛を訴えても、「知らん! 寝ろ!」と怒り、次の日も学校を休ませてくれず、結局、昼に病院に運ばれて即手術でした。
手術後の笑顔の意味、何だったんでしょう?
力だけでなく、精神的な支配もうまかったですね。
常に罵倒を浴びせて、自尊心をへし折られました。
なにか得意な分野や好きなことができると、「調子に乗るな」とにらみ、「お前はくさい、近くに寄るな」と拒絶して、聴覚過敏で大音量で兄がかける音楽に文句を言うと、「お前が神経質なのが悪い」と怒られました。
そんな兄も、小さい頃から自分を脅迫して、金をむしり取り、ガスガンの的にされてたこと、知ってましたか?
あなたから生きる力、自尊心を奪われたおかげで、自立できない大人になってしまったばかりか、統合失調症を発症して、何度も生と死の狭間の綱渡りをすることとなりました。
成人をしても、自尊心の回復って難しいんですよ。
自分は汚いから人に近づけない、その緊張感と閉じ込めの恐怖から、電車に乗ることが今も困難です。
人と話す時、自信がなくて顔色を伺いながら話します。
相手のして欲しいことをしようとします。
知ってますよね。
あなたもまた、毒親の元に育ったのですから。
だから、同じことをすることで復讐を果たしたつもりでしょうか。
あなたが「実家には二度と足を踏み入れない」と口癖のように言っていたこと、自分も今、同じように思っています。
成人してから、あなたの態度は急に変わりましたね。
さも自分の病気や障害を心配しているような振りをして。
あなた自身、気づいているかわかりませんが、病気の人間を心配している自分に酔ってるだけなんですよ。
自分の記憶を失った時のことを持ちだして、トラウマを針でチクチク指すように刺激しながら、いかに看病したかを語り、繰り返し話すことで恩を売りつけ、迷惑をかけた罪悪感を植えつけられました。
その後も、自分をうまくマインドコントロールしましたよね。
あれを食べて、この服を着て、歩く時はこの道を歩いて、言うことを聞かないと酷い目にあう、すべては私が正しいと。
2018年2月、あなたは電話越しにこう言いました。
「おまえ、最近調子に乗ってるんじゃねえだろうな?」
この言葉で、突然、何もかも弾けました。
ちょうど人にとても優しく接してもらい、「こんな人との関係性もあるのか」と新鮮な驚きをもって過ごしていました。
そのギャップだったんでしょう。
殴られて当たり前、外に放り出されて当たり前、閉じ込められて当たり前、罵声を浴びせられて当たり前、自分に価値がなくて当たり前……。
そんな当たり前は、本当は、当たり前じゃなかった。
その「気づき」は、「生まれ変わった」と言っていいほどの衝撃、感動、絶望、混乱、爆発、希望、光でした。
あなたも、虐待サバイバーです。
その中で、子どもを産み育てることへの不安もあったでしょう。
子育てがどれほど大変か、自分のような発達障害を持つ自分を、当時は情報がない時に育てる苦労は並大抵ではなかったと思います。
愛情がなかったわけでもないことも、わかってます。
愛情とうまく子育てができないという葛藤の狭間に苦しみ、揺れていたことは、大人になった今は理解できます。
きっと、あなた自身も病んでしまっていたんでしょうね。
だからといって、悩んだ結果の言動は、許されることはありません。
「今の家を建ててお金が必要な時にあなたができてしまった。だからどうしようかと思った」と、なんの躊躇もなく自分に言った時、もしかしたらお金の問題で自分が産まれてこなかった可能性を知り ました。
わざわざそれを息子に伝えるあなたは、人としておかしい。
何かが欠けている。
産まれること自体否定され、産まれてからも自分を否定し続けた。
あなたは自身が受けた虐待の連鎖を止められなかったんですね。
あなた個人の問題でもないし、あなた一人の責任でもないです。
だからといって、してはいけないことをしました。
し過ぎました。
あまりにその罪は多すぎます。
あなたの愛情は、本当は愛情ではなく、「支配」です。
与えられたものを食べ、与えられた服を着て、与えられた環境の中だけで育ち、少しでも外の世界に触れると「矯正」しようとします。
それは自分だけでなく、父にも同じことをしてます。
病気の父を心配しているつもりで、本当は自分の管理できる環境から外に出したくないだけなんです。
支配と、矯正と、管理。
あなたが愛情と勘違いしているものの正体です。
あなたから離れた今も、支配は続いてます。
3日のうち2日は、あなたが夢に出てきます。
夢の中で、あなたは怒鳴り、罵声を浴びせ、包丁で襲いかかり、にらみ、当たり前のように話しかけ、2階から飛び降り、 ストーキングをしてきます。
日々、悲鳴と共に起きたり、疲労しきった朝が始まります。
「お願い!やめて!ごめんなさい!許して!怖い!なんでもするから!」
小さい時から何も変わらない、変われない。
こうした心の歪みは、薬でどうにかなるものではないし、カウンセリングでも変わらなかったし、きっとこれからも変わらず夢を見続けるのかもしれません。
おめでとうございます。
あなたの支配欲は、見事に満たされましたね。
あなたからもらった名前は、捨てました。
健康を願ってつけたという名前は、あなた自身の手でその願いを潰しましたしね。
生まれつきの発達障害は仕方なしにしても、後天的に罹患したいくつかの精神障害は確実にあなたの影響を受けてます。
それでも支えてくれる仲間が、自分にはいます。
今のあなたには、まわりに誰がいるでしょうか?
「しゃべり方が気に食わない」「食べ方が気に食わない」と人の悪口を言っていた結果が、今のあなたの孤立なんでしょうね。
仕事から離れ、家の門から出ず、買い物すら父に任せて1人でテレビ三昧。
芸能人を見て「アイツは嫌い」「コイツも嫌い」と罵る日々。
情けない老後ですね。
あなたを本当に心の底から恨んでますし、今会えば何をしでかすか、わかりません。
でも、会わないので、どうか長生きしてください。
たとえ寝たきりでも、管をつけてでも本当の意味で「生きている」人はたくさんいます。
障害や老いなどの困難があっても、人とつながり、日々を進んでいる人は います。
たとえどんな状態でも、「幸せの価値」「幸せの定義」「生きる意味」は、平等にあります。
自分の価値を仮に決められるとすれば、それは自分自身です。
あなたは「ご飯が食べられなくなったり、寝たきりになったらすぐ楽に逝きたい」と言っていました。
「経管栄養も拒否したい」と言っていましたね。
万が一の時が来た時の希望を知っているのは、自分だけです。
支配する相手がいなくなれば、なんの意味もない人生。
今以上に孤立して、体も動かなくなり、食事も食べられなくなり、寝たきりになり、寝返りすらうてなくなり、兄も嫁もその子どもたちも誰も見舞いに訪れず、言葉も忘れ、白い天井を見つめる毎日を、何年も何年も、願わくば100歳越えても送ってほしいと思います。
あなたが望まなかった老後を、終わりなく、絶望の底にある死が希望の光に見えるまで、自分が子ども時代に見たあの甘い光を見るまで生き続けてください。

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