みんなの「親への手紙」 003 私に関わらないで

お名前 パトラ
性別 女性
年齢 58
職業 自営業

 母へ
 田舎の農家の長女。
 自分の下には大勢の弟・妹がいる家庭で育ったそうですね。
 高校を卒業する頃にはお見合いの話もあったのに、東京に出てきて、最初の職場でうまく行かずに、次の職場で出会った男性と結婚。

 ここからですね、私にうんざりするほど話し続けた下りは。
 一方的に好意を寄せられ、押し切られるような形で結婚生活がスタートしたのでしたっけ。
 最初から父の事が大嫌いだったのでしたね。

 私を妊娠、出産して、2歳になる前後に実家に私を預けました。
 何度も聞いた話ですが、理由は今でもわかりません。
 農家で日中は外に出払う所に2歳児を預けるほどの理由が何だったのか。

 当時のエピソードとして、離れた畑に祖父母が私を連れて行っても、しばらくすると飽きてきて、家に帰りたがるそうです。
 家に帰るには線路を渡らねばならず、遠くから線路を渡る私を見届けたそうですが、安全対策にはなりませんよね。
 そして、鍵のかかっていない祖父宅に一人で戻る2歳児。
縁側で昼寝をしていると、通りがかりの作業員が来て、おむつをかえてくれるそうです。
 私が死にたくなるほど嫌なエピソードです。

 お母さんは、この話をまるで留学でもさせたかのように自慢げに何度も繰り返しますよね。
 その神経が、私とは違います。

 一年ほどたち、やっと私を自宅に連れ帰ってからが第二幕でしょうか。
 幼稚園にも行っていない3歳の頃、近くの食品店に買い物に行かされました。
 お店の中は夢のよう。
 思わずチョコレートを買ってしまいましたが、帰り道の三歳児の凍てつくような後悔をまだ覚えています。

 案の定、ドアが開いた途端に鬼の形相。
 突き飛ばされて、締め出されました。

 泣きわめく私に近所中の方が集まり、それも恥ずかしく、泣きやめませんでした。
 近所の方に母が説得されて家に入れましたが、あなたはそういう人です。

 「はじめてのおつかい」って番組、知ってますか?
 観るたびに泣けてくるのです。
 幼児なんていろいろ失敗しますが、そこからが親の愛情の見せどころですよ。
 辛抱強く、何度でも成功するまで付き合う。
 成功したら喜ぶ。
 あなたにそれが出来ないのは、自分の都合のために子どもがいるからなのでしょう。

 一事が万事。
 あなたとのエピソードの根っこは、本気で子どもは自分の小道具だと言うあなたの考えに基づくものばかり。
 見えないのは子どもの気持ち。
 一番大切なのは自分の都合。

 「男の子がほしかった」と言い出し、長く私には変な男の子のうような恰好、短い髪型をさせていましたっけ。
 自分で決めた髪型でもないのに、親戚一同が集まる食事の席で、いきなり「うっとうしいのよ、この前髪」と言って、私の前髪をつかみ、床に叩きつけましたね。
 泣いたら恥ずかしいので「いてー」と男の子のように言いました。

 幼児の頃から、あなたがいかに優秀な人間で、だけど、農家で何かと恵まれず、東京に出てきた。
 父と出会い、さらに不幸になった。
 でも、自分の分身である子どもが生まれたから、頑張っていると繰り返し聞かされていました。

 髪をひっぱられようと、小道具にされようと、「可哀想なお母さんに寄り添う」役割を必死で頑張って来ました。
 でも、あれはひどっかった。
 学生の時にサークルに入っていて、私は生まれて初めて、全力投球したのでした。

 学年が進み、引退の時にはその宴会があり、やって来た人間にとっては何よりも大切なイベントでした。
 日付が決まった時から繰り返し、繰り返し、あなたには告げていました。

 夜に私とあなたが家を空けると、父が何もできないので不機嫌になるからです。
 なのに、前日でしたっけ「あら、私、会社の人たちと飲みに行くのよ」と言われました。
 無理に私が出かけて、帰宅して父が不機嫌なのも嫌で、欠席しました。
 サークルの友達や後輩から電話が来た時には泣きだしたくなりました。
 あなたはさぞ、楽しんだのでしょうね。

 それから時がたち、私の結婚が決まると、ますますあなたがどういう人間かが見えてきます。
 衣装選びやかつら合わせなど、何人も新婦が来ていますが、よそこお母さんはとても熱心で楽しそう。
 でも、あなたはつまらなそうに遠くでぼんやり立っています。

 結婚にかかる費用も、一円も出してもらっていません。
 妊娠、出産と時は流れますが、出産した私に繰り返し「母乳なんて出ないわよ、私も出なかったんだから」と言いましたね。
 母乳は出ておりましたが、電話までかけて来て「母乳は出ないでしょう」と言われ続け、途中でやめてしまいました。
今でも後悔しております。

 第二子を妊娠した時には妹が変な男と付き合い始め、さんざんあなたたちに迷惑をかけていましたが、なんで幼児をかかえ妊娠している私にあれほど愚痴り、何とかしろと言ったのですか?

 ああ、私は小道具だから、あなたが不快ならば快適になるように動かなければならないからでしたね。
 とうとう流産した私に、「私も流産したけど大変だった、痩せたし」と自分の悲劇を話し出しましたね。
 その上、妹を預かれと、私の家に連れて来ました。
 その時、子どもが喘息で、入院したりしていたのに。

 私も50代となり、子どもを27年育てました。
 そんな私が思うこと。
 あなたの「自分は悪くない」という信念。
 それが、諸悪の根源です。

 たしかに、あなただけが悪いわけではありません。
 でも、あなたの問題はあなたが変わることでしか解決しないのですよ。
 それをしたくないために、「実家の環境が悪かった」「お父さんに強引に結婚させれた」「あんたのせいで私が恥をかく」「お父さんってほんとうにどうしようもない」。
  こんなことを言い続け、気づきの心がない結果が今なのです。

 でも、私は感謝しています。
 子どもに「あんたのせいで恥をかいた」とか、「あなたは私の分身」とか、「私は可愛そう」など言わない親になりました。

 ひとつだけ、最初で最後のお願いを聞いて下さい。
 もしも来世があったとしたら、私に関わらないで。


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