みんなの「親への手紙」 035 あなたを殺せば自由になれる


★氏名 タカシ
★性別 男性
★年齢 41
★職業 無職


 父へ
 あなたのつまらないプライドと暴力と酒が原因で、母さんと僕たち兄妹がどれだけ苦しんできたか、わかりますか?

 仕事をして家族を養えば、それが父親なのでしょうか?
 仕事をしていたら、家族を殴っていいのでしょうか?

 少しでも気に入らないことがあれば、怒鳴り、子どもの目の前で母さんを馬鹿にしてましたね。
 ただでさえ暴力的な言動をしていたあなたが、酒を飲むと手がつけられなくなり、母さんを怒鳴り、殴るのが嫌でした。

 ひどい時は、母さんに火がついたタバコを押しつけたり、殴りすぎて何度も骨折させてましたね。
 そういう異常な状況の毎日の中でも、あの時の出来事が頭から離れません。

 あの時、いつものように1階のリビングで、あなたが母さんを怒鳴り、殴り始めました。
 その音を聴くのが嫌でした。

 あまりにも長く続くので、1階に降りてドアを開けて、「母さんを殴らないで」と頼むと、あなたは「もう殴らないから」と言ったのに、リビングから僕を追い出すかのように無情にもドアを閉めましたね。

 その先の記憶がありません。
 母さんは、また怒鳴られ、殴られたのでしょう。
 その後、いつものようにケガしてたから。
 あの時以来、僕は閉まっているドアを見るだけで、とても恐怖を感じます。

 あなたは、「母さんを殴ると気持ちいい」と言ったこともありました。
 自分の子どもに、よくそんな台詞が言えますね。
 最低です。

 薄暗い中、階段に座って、あなたが母さんを殴らないように、こらえて怒鳴り声を聴き続けたこともありました。
 あなたの怒鳴り声と暴力のせいで、僕は男性なのに男性が怖くて、大声や怒鳴り声を聴くだけで、体がビクッとなり、硬直します。

 あなたは2階の寝室に鍵をかけて、母さんを気絶寸前まで殴り続けたこともありましたね。
 いや、気絶してましたよね。
 あの時の母さんの腫れ上がった顔を見た時、あなたを父親として見れなくなりました。

 それまで、あなたに少なからず抱いていた感情が憎しみになり、あなたが死ぬことを願い始めました。
 あなたは毎日のように酒を飲み続けて、それが1ヶ月以上続いたこともありました。

 もう限界になり、酔って寝ている酒臭いあなたを自分たちで車に乗せ、途中で白バイに先導してもらって、病院に連れていったこともありました。
 あなたが飲む酒に、すり潰した睡眠薬を入れたこともありました。

 ただ、あなたに大人しく眠って欲しかったから。
 だって、その間、その時だけ、僕たちも安心して食事をして眠ることができるから。
 絶え間なくそういう毎日が続くと、精神的に余裕がなくなり、笑うことも、泣くこともしなくなりました。
 だって、楽しいことなんかないのに、笑えないでしょう。

 いくらあなたに泣いて頼んでも、怒鳴り声や暴力が止むことはなかったから、無駄だと思って、泣くのも止めました。

 母さんや僕たち兄妹を奴隷のように使い、子どもの僕たちにタバコや酒を買いに行かせてましたよね?
 姉妹には夜道を行かせられないから、僕が率先して買いに行ってました。
 みんなは「買ってくるの、早いね」とか言って、僕も笑っていたけど、本当はまったくうれしくなかった。

 高校生の時に、何がきっかけか忘れたけど、あなたがしていることは虐待だと知り、担任に自分が虐待されているとうち明けたけど、担任は何もしてくれませんでした。
 しょせんは他人事だったのでしょう。

 その後、一度も家のことについて聞かれませんでした。
 警察は何度も家にきたのに、あなたを逮捕してくれませんでした。
 あらゆる虐待をし尽くしてきたクズのあなたを逮捕できない警察なんて、何の意味もありません。

 児童相談所の人たちは、いとこが居候していた時に、いとこから「虐待されている」と通報があったのに、僕たちのことは見て見ぬふりをしていました。
 「児童相談所の人たちが警察に通報してくれていれば、助かったかもしれない」と、何度も思いました。

 そうやって僕は生きる希望を失い、人を信じるのを止めました。
 いつ新聞に載ってもおかしくない状況の中、本当によく生き延びれたなと思います。

 母さんは、僕たち兄妹を、自分の命を削って生かしてくれました。
 母さんには感謝してます。

 あなたはただ、自分のつまらないプライドのために酒を飲み、暴力を振るっただけ。
 あなたは、人間じゃありません。
 父親でもありません。
 怪物です。

 子どもの頃は、あなたが怖くて、あなたを怒らせないように、機嫌を伺ってばかりだったけれど、20歳を過ぎる頃には、あなたを殺すことばかり考えてました。
 警察があなたを逮捕しないなら、いっそのこと、あなたを殺せば自由になれると思って。

 でも、あなたみたいなクズを殺したところで意味がないし、見えない傷が増えるだけだと気づき、やめました。
 それまで、あなたをひたすら憎み続け、殺すことだけ考えてきたから、それをやめた時の反動がすごかった。
 鬱病と不眠症になりました。

 それでも死にたくなくて、どんなにまわりから馬鹿にされようが、ひたすら耐えて過ごしてきました。
 そして、長年願った両親の離婚が成立した時、あなたを憎み続け殺そうとした自分には何もないと考えてしまって、とうとう人生をあきらめました。

 そんな人生の中、考えが変わる出来事がありました。
 甥と姪の産まれた日です。
 産まれたばかりの甥や姪を抱っこした時、初めて「生きてきて良かった」と思いました。

 あなたのように、女性と子どもに暴力を振るうかもしれないから、「自分なんかが誰かを幸せにできるはずがない。誰かと一緒になるべきじゃない」と考えて生きてきたけれど、甥や姪が成長するにつれて、「あぁ、やっぱり1人は嫌だ。誰かと一緒にいたい。つながりたい」と思うようになりました。

 2年半前から就労支援B型の福祉作業所に通い始めて、ウォーキングを始めました。
 最初はきつかったし、さぼりがちだったけど、続けていくうちに、いつのまにか鬱病と不眠症が治ってました。

 最近、次の段階に進もうと、近くの就労支援A型の福祉作業所を探してます。
 何もかもあきらめていた僕が、ここまで立ち直れました。
 昔の記憶がほとんどないことが、かえって良かったのだと思います。

 目に焼き付いて離れない、忘れたい記憶もあってつらいけれど、未だに生きる目的も目標もないけれど、それでも僕は先を見て、今を生きています。
 さよなら、過去のあなたへ。


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