みんなの「親への手紙」 021 私を殴る怖い手


名前 柳
年齢 19
職業 アルバイト
性別 女


 母さんへ
 私は小一の頃から、あなたから暴力を受けていましたよね。
 最初は 、私が悪いことをしてお尻を叩かれることから始まって、ビンタやものを投げつけたり、だんだんエスカレートしていったよね?

 今でも覚えてます。
 唯一希望だった、幸せと感じる祖父母の家で過ごす土日は、救われる気分だった。
 けどね?
 あなたがいっつも行く前に「余計なことは言うなよ」って言うじゃない?
 だから、ずっとずーっと我慢した。

 我慢して、中学校でもいじめられて、我慢して、もう限界だった。
 姉からも暴力を振るわれてたの、知ってた?
 母さん。

 母さん、あのね?
 ほっぺ殴られたよ。
 母さん、あのね?
 姉ちゃんにお財布のお金取られちゃった

 母さん母さんあのね?
 こっち向いて慰めて
 いい子いい子してよ
 小さい頃は、してくれたじゃない
 嫌なことや怖い夢を見て泣いてた時、してくれたじゃない。

 あなたが撫でる優しい手は、私を殴る怖い手に変わったのよ
 姉ちゃんがある日怒って、私をテレビのリモコンで殴った。
 初めてその日、対抗心というか、反撃をして「やめろ」と叫んだ。
 姉ちゃんのアッパーがもろに顎に入って、私は床に思い切り後頭部をうちつけて、脳震盪を起こした。

 正直、ざまあみろと思った。
 これで後悔すればいい。
 やりすぎたと反省すればいい。
 謝れ私に謝れ
 そう感じた

 けれど、しばらくして帰ってきたあなたは、姉ちゃんを慰めたよね。
「大丈夫、大丈夫だから。大丈夫大丈夫
 なぜ?
 私が悪いの?
 どうして私を慰めてくれないの?
 母さんっちを向いて

 しばらくして高校生になり、一人暮らしをするために働いてお金を稼いだ。
 あなたは、その頃には私のご飯もつくらず、父には作り、洗濯も使うフライパンも別。
 何もかも別々にしたがる。
 高校から帰り、リビングを通るのが、苦痛で仕方なかった。

 父とあなたのいちゃついたやり取りを聞くのも苦痛で、何度も気が狂いそうになった。
 そのたびに殴られ、罵詈雑言を吐かれた。
 でも、大丈夫
 まだ母さんは、私のこと好きでしょ?
 いい子にしてれば大丈夫。

 そう思ってたのに、あなたは私に怒鳴った。
「クソガキ。
 あんたなんかうまなきゃ良かった。
 消えてくれ。
 頼むから消えてくれ」

 今でも覚えてるよ?
 それくらいショックだった。
 もう、いい子ではなくなってしまったということと、とっくに母さんからは私への愛情が消えてしまっていたこと。
 それが悲しくてならなかった。

 この傷はもちろん、あなたからされたことでなってしまった病気。性格
 一生忘れない。
 母さん…、母さん、あのね?
 絶対に許さない。


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