みんなの「親への手紙」 034 私の人生を返せ


★名前 長谷真登
★性別 X
★年齢 22
★職業 学生・将棋講師


 お母さんへ。
 小さいころから、あなたはいつも「お母さんが小さいころならこのくらいできたのに、なんでこんなこともできないの」と、いつも私を責めていましたね。

 私はひどく不器用で、何をするにもうまくこなせない子どもでした。
 私は長女だったので、まわりの目線を気にするあなたにとって、さぞかし子育てのプレッシャーは大きかったのでしょう。
 すぐに怒鳴り、私のものを壊すあなたが恐ろしくて、いつも人の顔色を窺う子どもになってしまいました。

 そのうちあなたは、人が大勢いる場所でわざと大声で叱ることが増えましたね。
 急に「右を向け」と言われ、どの目線からの「右」なのか考え込んでしまうと、「曲芸のサルでもできることなのになぜわからないの」。
 人の行き交う地元の観光地で怒鳴られた時は、幼心にプライドがズタボロにされました。

 妹たちへ同じように怒鳴るあなたを見ては、「どうにかしてやりたい」と思い、私はだんだんわざと無能な道化を演じることで、怒りの矛先を一極集中させようと決心しました。
 学校や部活ではいじめられ、家ではあなたに人格を否定される。
 もちろん、妹たちには、私が本物のバカに見えている。

 病気だった父が死んでから、あなたの虐待はさらに加速していきました。
 父は難病にかかっていて、助かる見込みはありませんでした。
 あなたは私をわざと遠くの祖母に預け、見舞いに行かせないようにしていましたね。

 父が死んでから、「お前がそうやって苦労ばかりかけるからお父さんは死んだんだ、お前が殺したんだ」「この人殺し」とののしられ、ついにズタボロになりました。
 もともと私の食費や生活費を出さない親でしたが、この頃からだんだん食事が毎日出てこなくなりました。

 アルバイトで学費を稼ぐため、定時制の高校に進学しましたが、ついに一家の恥扱いをされるように。
 妹たちの知り合いが来る日は、「邪魔だから」といつも追い出されていました。

 部活の県大会で入賞しても、生徒会長になっても、毎回オール5の成績を持ち帰っても、3年間一切ほめることはありませんでしたね。

 小さい頃から夢だった教員を目指して通信制大学に入学が決まった途端、祖父が急逝し、私は急遽祖母の介護をすることになりました。
 働きながら大学へ行き、祖母の介護をする日々。

 もちろん、祖母の生活費や介護にかかる費用は出してくれませんでしたね。
 学費のために一生懸命貯めた数十万円は、すべて介護に消えていきました。

 あまりにお金がなさ過ぎて、23日で80円の食パン一斤しか買えなかった。
 それをかけもちの職場に移動する駅のホームで食べながら、「どうしてこんなにがんばらなきゃいけないんだろう」と自問自答する日々でした。

 さすがに教員資格を取れるほど余裕もないので、あなたに切り出したら、「やっぱり、どうせあなたはできないってあきらめると思った」。
 ショックすぎて、後のことはあまり覚えていませんが、自殺しようと何度も電車に飛び込みそうになったことは覚えています。

 今は郊外のシェアハウスに住んで、働きながら大学に通う日々。
 あなたに全否定された高校時代に身に着けた将棋を、未来ある子どもたちに教えることでお金をもらって生きています。

 引っ越した先で病院へ行ったら、鬱病と診断されました。
 体もメンタルも、ボロボロです。
 自己肯定感の低さは治る気がしませんし、失った時間や可能性はもう二度と戻ってきません。
 あらゆるマイナスをゼロに戻すことに必死で、つらすぎて「早く死んでしまいたい」と願う毎日です。

 どこまで私から奪えば気が済むんだ。
 私の人生を返せ。
 返せないなら産まないでほしかった。


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