みんなの「親への手紙」 018 本当は愛されたかったけど、もう無理

名前 H.A
性別 女
年齢 15
職業 中学生


 母へ。
 貴方は昔、出された料理を残すと、とても怒りました。
 お腹がいっぱいでもう食べられなくても、あまり好きではない食べ物があっても、残そうとすると、とても機嫌を悪くして、私を叩くこともありました。

 「せっかく作って食べさせてやってるんだから」と言われた時からは、私はご飯を残すことはなくなりました。
 もし、お腹がいっぱいになったり、苦手な料理が出されたら、無理矢理口に押し込んで飲み込みました。
 それは、今思うと、とても苦痛でした。

 もう貴方は覚えていないでしょうが、ある日、私は貴方にこう言いました。
「今日のご飯、おいしいね」
 その日の晩御飯は、私の好物が出ました。
 すると貴方は、とても機嫌がわるくなりました。
 それは、祖母が作ってくれた料理だったからだそうです。

 貴方は、「自分が料理を作ったときにはそういうことを言わないのに、なぜ今日に限ってそういうことを言うのか」と、私に問い詰めました。
 「料理がおいしい」と言えば、貴方が喜んでくれると思ったから言ったのに、まさかこういう結果になってしまうなんて思ってなかったので、がっかりしました。

 「料理を出されても、食べられないなら残してもいい」と初めて言われたのは、小学校に入学したばかりの頃でした。
 給食の時間に担任の先生からそう言ってもらえて、私は初めて苦手な食べ物を残しました。

 しかし、罪悪感があり、私は泣いてしまいました。
 「また怒られて叩かれてしまうかもしれない」という恐怖がありました。
 結局、その日以降は、料理を残さないように食べました。

 今では、食べ物を残しても貴方は怒らないし、暴力を振るうこともありません。
 だから、料理が多く出されて食べられないときは、残して、ごみ箱に捨てることをためらわずにできます。
 それを考えてみれば、今の私は幸せであると思います。

 貧困で悩まされている国や家庭にとっては、こんなことができないかもしれませんし、別問題であると思いますが、少なくとも、そのおかげで私は貴方から暴力を振るわれることもなくなったし、叱られることもなくなりました。
 今は貴方がそういうことをすることが減ったので、うれしいです。

 父へ。
 貴方は、お酒を飲みながらこう言いました。
 そのとき、私はピアノの練習をしていました。
 貴方はもう覚えていないかもしれませんが、「おまえのピアノなんか下手だから聞きたくもない」と言って、お酒を飲みながら貴方は、私を大声で怒鳴りつけました。

 そのあと、弟から聞きましたが、貴方はずっとイライラして私の愚痴を母にぶつけていたそうですね。
 母はそれに共感して、一緒にお酒を飲んでいました。
 それを聞いていた弟も可愛そうだ、と私は思います。

 ピアノの練習を終えると、貴方は私の頬を叩きました。
 突然叩かれたものですから、わけがわからず、私はびっくりしました。
 その後、大声で泣きわめきました。
 「うるさい!」と貴方は言って、別の部屋に行ってしまいました。

 私は、貴方が怖いと思いました。
 なにか行動をすれば、叱られたり、叩かれたりする。
 私は、父の前では、歩くことやご飯を食べることさえも怖くて仕方がなくて、びくびくしていました。
 貴方がドアを開ける音さえも、なにかされるんじゃないかと、いつもいっぱいでした。

 また別の日、貴方は大きなため息をついて言いました。
「おまえが男に生まれてくれればよかったのに」
 そう言われた時、私は女として生まれたことをとても後悔しました。
 とてもつらくて、どうすればいいか、わかりませんでした。

 しかし、私は一つの考えにたどり着きました。
 私が男みたいになれば、父が喜んでくれるのではないか、と。
 今思えば極端な考えだったかもしれませんが、私はその次の日から容姿や一人称を変えました。

 自分のことを「俺」や「僕」というようになりました。
 また、長かった髪を短く切り、スカートやワンピースをあまり着ないようになりました。

 学校に行ったとき、友達に「男っぽい」と言われることがありました。
 むしろそれは、誉め言葉のように聞こえました。
 そうすれば、小さい頃のようにまた貴方に愛してもらえると思い込んでいたから。

 しかし、その影響でクラスでいじめをうけたり、「異常者だ」と偏見されたりしました。
 それはとてもつらいことでしたが、貴方にまた振り向いてもらえるならそれで良い、と思いました。

 家族で久しぶりに家で夕食を食べたとき、私は「俺は~」と言って会話をしていました。
 それを聞いていた貴方が、私を叱りました。
 「女の子なんだから、女の子らしくしていなさい」と言って、機嫌を悪くしました。

 母も、同じように私を叱りました。
 「貴方のためにその行為をした」と言えませんでした。
 その一言を言えば、私は貴方になにをされたかわかりませんし、今でも言うことはできません。
 次の日から、私はまた髪を伸ばし始め、女らしい服装やアクセサリーを身につけるようになりました。

 貴方は私の生まれ持った個性を否定しました。
 性別のことだけでなく、勉強のことや、性格のこと…。
 ささいなことを叱られて、私は貴方にくるしめ続けられながら成長してきました。
 もう、そのくるしさにも慣れてしまいました。
 貴方と一緒にいたら、苦しくて仕方がない。

 この前なんて差別発言をしましたし、どうすればそれが解消されるか、今考えています。
 さらにひどいことを言われました。
「学校に行くな、高校にも進学しなくていい。おまえの将来は俺が決める。将来の結婚相手も俺が決める。俺に従え」

 こういったこと、どうせ貴方はもう覚えてないんでしょうね。
 がっかりしています。
 今も私の心が深く傷ついていることも、知らないんでしょうね。

 両親へ。
 二人のおかげで15歳までなんとかいきてこれたことを感謝しています。
 でも、二人とも私を責める人でしたから、「私ができない子だからぱぱとままが叱ってくれてるんだ、ありがたいと思わないと」と、今までは言い聞かせていました。

 しかし二人は、極端な考えや様々な暴言を私に吐き捨てました。
 それによって心が傷ついていたと気づいたのは、最近のことでした。
 それに気づいたとき、私はつらくて絶望的な感情になりました。
 弟には一切そういうことをしないのに、なぜ私にだけそうやって攻め続けたのですか?

 小さい頃の記憶が、今でもフラッシュバックすることがあります。
 それを思い出すたび、頭を抱えて泣いてしまいそうになります。
 私にもし子どもができたら、そういう感情にはさせたくないと強く思います。
 二人が私に与えたつらさは、絶対にだれにももう経験させたくないと思っています。

 私は早くこの家を出たいです。
 そしたら私は、好きなことをやって生きていきたいです。
 だから、二人はもう口出ししないで
 わたしの好きなように生活させて。
 ずっと我慢しているのも、もうつらい。
 いつか後悔させてやりたい。
 二人より幸せになって、いつか見返したいです。


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